『花子の日記』

松本卓也監督『花子の日記』を観る。
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『花子の日記』(2011年/日本/105min)


松本卓也監督の前作『グラキン★クイーン』が面白くて、それがきっかけで松本卓也監督がやってる映画の寸評を語るPodcast『健康会議室』を愛聴し始めてるんだけど。その松本監督の新作。
『グラキン★クイーン』に続き、今作も香川県が舞台。松本作品はまだ『グラキン★クイーン』しか観たことなかったので、本来の作風(グラキンが直球なのか変化球なのか)が分からなかったけど、今作は割とギャグ少なめでストレートな感じですね。題材がブランド牛の精子を韓国人が盗みに来るというものだけど、瀬戸内ののどかな”夏休み!”って感じで、香川のグルメスポットをちょいちょい入れてたり(映画のチラシ自体もB4二つ折りでロケ地マップが付いている)と、地元から応援されてる庶民的な作品。滅茶苦茶極悪な人は出てこないのでどの層が観ても安心設計やね。夏休みに観るとイイかもね。
倉科カナさん(マナカナの三倉佳奈さんと混同しがちだよね)は、今までノーチェックやったやったけど、中々イイ味出してはるね。ラストの笑顔で肉が食いたくなった。サトシの姉役の歌原奈緒さんキレイやったなぁ。
『グラキン★クイーン』よりはパンチがなかったけど、また次の作品が楽しみですね。

・『花子の日記』
・『花子の日記』予告篇
・『花子の日記』RAP応援CM

・『花子の日記』松本卓也監督インタビュー

『魚介類 山岡マイコ』

梶野竜太郎監督『魚介類 山岡マイコ』を観る。
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『魚介類 山岡マイコ』(2011年/日本/82min)


う〜ん中々、怪作やね。ポカ〜〜ンとなるね。
最後もっとドカーンと来るんかなと思ったら意外とあっさりやし。
この監督の前作『ピョコタン・プロファイル』が、妙に面白くて期待してた作品。
なんだろ?独特のセンスやね。イイ意味で、何やねんコレ?どういうセンスやねん?的な妙なとこをついてくるね。何層をターゲットにしてるのか?出てるアイドルのファンの人が観たら嬉しいんかな。ニッチなとこつくね。
シュールっちゃぁシュールだけど、”どやおもろいやろ!”的なあざとさもなく、かと言ってメイキングを観ると割と”え?何がおかしいの?”的な普通のトーン(とは言え、出演者やスタッフは撮影中も完成してからもどんな感情を持ってるんやろか?)やし、濡れ髪・濡れたシャツに監督はグッときて撮りたくて撮った感じなんやろね。マンガやアニメ的なオタクなセンスやけど、アイドルアイドルした感じやオタクの人が撮りましたよ的なちょっと引いてしまいそうな感じもなく、何か妙な隙間を入ってくるなぁ。何にせよ監督は変態ではあるな。
兎に角、女の子の濡れ髪・濡れたシャツを撮りたかったんやろね。それは伝わった。
こういう女の子が変なセリフや演技をしてるのは好きなので、また次に期待したいね。


・『魚介類 山岡マイコ』

・『魚介類 山岡マイコ』予告篇

『人の善意を骨の髄まで吸い尽くす女』

加藤行宏監督『人の善意を骨の髄まで吸い尽くす女』を観る。
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『人の善意を骨の髄まで吸い尽くす女』(2009年/日本/61min)


想像よりは、人の善意を骨の髄まで吸い尽くしてる感じはなかったけど、くせ者な女子ではあるね。山田真歩さんのオカッパ+ジャージ+ロングスカートの組み合わせ・キャラ作りはイイ感じやね。SR2の印象とは違って、目つきが鋭く中々コワいね。
低予算な感じで中々チープな感じやけど、そのチープ具合が別に味になってるし、こう魅せれるのはセンスがあるんやと思う。
加藤監督は”MOOSIC LAB 2012”『アイドル・イズ・デッド』が非常に良かって、この『人の善意を〜』も個人的に好きなセンスやね。

・『人の善意を骨の髄まで吸い尽くす女』
・『人の善意を骨の髄まで吸い尽くす女』予告篇


DVDで観たんやけど特典で、『善人』が付いてたね。
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『善人』(2011年/日本/23min)


面白かった。この主人公のよこえとも子さん吹っ切れててイイ演技しはるなぁ。他の登場人物も。加藤監督のセンスはやっぱ好きかも。コレ系のコメディで言うと石井裕也監督作品は個人的に全然面白いと思ったことがないし、あざとい笑わしたろか感が空回りしてるけど、この加藤監督はガッチリ噛み合って回ってて”ちゃんと”面白いですね。センスがあらはるし、今後の作品も期待ですね。

・『善人』予告篇

・『善人』メイキング

・『アイドル・イズ・デッド』予告篇

『すべては「裸になる」から始まって』

森下くるみさんの自伝的小説の映画化、
中町サク監督・脚本『すべては「裸になる」から始まって』を観る。
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『すべては「裸になる」から始まって』(2012年/日本/80min)


う、う〜〜〜、、、おもしろくないね。薄っぺらくて全然原作の良さが出てないね。チープなピアノのBGMに、たまに出て来る白塗りの舞踏家(イメージ的な回想シーン)に、メタフィクション的な劇中内で映画を撮ろうとしてる設定が全然効果的でないし、何でこんなことになったんやろね。
元AKBの成田梨紗さんという人が森下くるみさん役なんだけど全然タイプ・キャラが違うし、元AKBの人の濡れ場をウリにしてて、そんな要素を求めてるんじゃなくて、もちろんAV女優の仕事なので現場のシーンは必要だけど、ストーリーに添ってあればいいんだけど、割と絡みのシーンもサービス的に盛り込もうとしてて、そうじゃなくて、もっと地元のシーンやスーパーに就職してるシーンや、家族のシーン、”AVクイーン”に登り詰めていくまでのシーンを描いて欲しかったのに会話でサラッと済ましてるし。。。両親のケンカのシーンもちゃんと家で撮って欲しかったし、あの泥んこの畑でちゃぶ台囲んでるのは何のファンタジー感もないしチープにしか感じない。90年代のVシネかTVの再現映像サイズのまとめ方。酷いねぇ。。。ダメだこりゃ。
森下くるみさんは、多分この映画に関して善し悪しどうこう言わず(プロモーション的に過剰に褒めることもなく)淡々と観はるんやろなぁ。

これ系で成功してるのは、みひろさんの自伝的小説の『nude』(こっちは原作読んでないけど)。 予想外に感動したし、主演の渡辺奈緒子さん(個人的にみひろさん本人よりもイイ!)が非常に良かった。テニスコーツの曲もバッチリ合ってたし。


・『すべては「裸になる」から始まって』
・『すべては「裸になる」から始まって』予告篇


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原作はおもしろいよ!

『SR3 サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』

京都みなみ会館入江悠監督『SR3 サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』を観に行く。
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入江監督・TKD先輩・釣りラッパーのTECさん・HI-KING(征夷大将軍 MC NO VOICE)さんの舞台挨拶があったよ。

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『SR3 サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』(2012年/日本/110min)


1シーン1カットの長回しが凄かったね。もちろん長回しなので、成功してるとこ、そうでないとこ、途中だれる部分もあったりしたけど、単純に途中で失敗したらまら一からやり直さないといけないわけで、そういう意味で演じてる人・撮ってるスタッフの緊張感が観てて凄かったね。オーディションのシーン良かったね。個人的に征夷大将軍が好きかもしらんな。

個人的にはサイタマノラッパーシリーズというと、全く期待せずSPOTTED作品というこで観にいった『SR サイタマノラッパー1』が、予想外に良く(その年の「みなみ会館大賞」の2位に入れたし、DVD買っちゃったし)て、期待して観た『SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』が全然良くなかった(世間的に評価が高いし、みんな良いって言うけど、自分的には全然響かなかった)けど、3はちょっと持ち直した感はあったかな。でもやっぱ初見の衝撃含めシンプルな1が個人的に好きかな。

とはいえ、サイタマノラッパーの自主映画の地道な宣伝活動だったり、撮影時の色んな人の強力っぷりが凄いなと思うな。今回初めて生で入江監督観たけど、SPOTTED373で大橋裕之さんが描いた入江監督の漫画の顔が、あんなタッチやのに似るのが凄いし、入江監督の舞台挨拶を聞いてて、終始大橋さんの絵とダブっておもろかった。


・『SR3 サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』
・『SR3 サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』特報

・『SR3 サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』予告篇

『私の、生きる肌』

TOHOシネマズ二条で、ペドロ・アルモドバル監督『私の、生きる肌』を観る。
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『私の、生きる肌』(2011年/スペイン/120min)


楽しみにしてた作品だったので、何となくこういう話なんやろなぁと思ってたけど、想像してた以上の手術してたね。ネタバレになるから言えないけど、良かった。
ジャン=ポール・ゴルチエが衣装協力してることでも話題だったけど、劇中にこのスケッチのはなかったね。
キレイな『ムカデ人間』というか、『完全なる飼育』的なニュアンスもありつつ、アントニオ・バンデラス扮するあの医者は、中々凄いことしよりますね。中々内容に触れにくいけど、あんなけキレイな人になってもうたら、それはそれで精神面も趣味趣向も変わっちゃってもいいかなって気にもなるかな。


・『私の、生きる肌』
・『私の、生きる肌』Trailer

”松江哲明監督セレクション『シアター★ジャック 覆面ナイト』”

京都みなみ会館のオールナイト上映”松江哲明監督セレクション『シアター★ジャック 覆面ナイト』”へ。

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つまり、松江哲明監督がセレクトした作品の覆面上映(何がかかるか分らない)。

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松江監督のトークと、おっ『恋するクソ野郎』(あのチラシの絵がイイ感じの映画)の谷口恒平監督も急遽参戦決定。

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ということで、覆面上映で当日何がかかったか言ってはいけない(色々権利の問題で、、、)とのお達しで、作品は言えないけど、どれも未見だったけど過去の名作で、中々楽しかった。覆面上映ってイイねぇ〜。前知識なく観るのでジャンルもストーリーも当然しらないので、どういう展開になるのか予想できないので、白紙状態で観れて普段はこういう経験ってしない(普通観たい興味がある映画を観に行くので)し、イイなぁ。良かった。

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で、上映が終わって(朝7時何分とかに)外に出たらおもっきり明るいね。4本観たけど、3本目終わった時点でもう明るかったもんね。

『ロボット』

T・ジョイ京都で、シャンカール監督『ロボット』を観る。
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『ロボット』(2010年/インド/139min)


以前からインド版ターミネーターがヤバいとネットでかなり盛り上がってましたが、いよいよ公開されましたね。日本公開版はカットされて2時間19分なんやけど、このたび2時間57分の完全版の公開が決定したみたいですね。
で、観てきた感想はおもしろい!密度が濃くて満腹感が凄いね。製作費37億円ということで、アクションもVFXも凄いんやけど、ダンスシーンもカッチョよかった(未来的だけどエキゾチックな)し、ドラマのコメディ部分もおもしろかった。金属の光沢感がインド独特のセンスで、思ってたインド(国のイメージ)と全然違って、今のインド映画の最先端にある作品なんやろね。割と容赦ない描写もあったり、圧巻はやはりロボが合体していろんな物に変形するそんな無茶なということも、すんごい力技で説得させてくるね。おもっきり突き抜けてていい。事前イメージも余裕で越えてきたし。『ロボット』がソフト化されたら買おっと。
ターミネーターをインドでやると『ロボット』になって、中国のでやると『カンフーサイボーグ』、日本でやると『ロボゲイシャ』になるわけやね。


・『ロボット』

・『ロボット』予告篇
・『ロボット』ダンスシーン特別映像

『神さまがくれた娘』

深夜にテレビでやってた、A.L.ヴィジャイ監督のインド映画『神さまがくれた娘』を観る。なんでも「大阪アジアン映画祭2012」でグランプリとABC賞を奪った作品なんだとか。

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『神さまがくれた娘』(2011年/インド/146min)

ABC賞ということで、本編の間のCMの入れ方が作品の流れを尊重した入れ方(最初の一時間ほとんどCMなかった気が。クライマックス直前は短いのが1本入っただけだった印象が)だった気がした。確認は出来ないけど、そんな印象だったかも。
本編の方は、子役の娘(オリエンタルな顔立ち)が可愛くてイイ味出してた。切ない内容に反してコメディ色も強いので、泣く事はなかったかな。インド独特の陽気な感じがファンタジーな雰囲気とも合ってる感じやね。自分的にはそこまでグッとこんかったかな。

・『神さまがくれた娘』
・『神さまがくれた娘』(英語字幕版がYouTubeに普通にアップされてるね)

『Mögen Sie Kino? 映画は好きですか? vol.1』

京都みなみ会館の特集上映『Mögen Sie Kino? 映画は好きですか? vol.1』が5/5(土)〜5/11(金)まで開催中。
”製作規模にとらわれず”おもしろい”映画をみなみ会館がセレクトして上映していく新企画!
第一弾となる今回は、映画発祥の地、京都関連の若手映画作家の作品を大特集!
また、京都で映画製作を学ぶ学生たちの瑞々しい感性で作られた作品を、みなみ会館が自信を持って上映します!”ということで、
”京都新世代!?(『恋するクソ野郎』『ラブホテル』”の2本を観に行く。

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谷口恒平監督(「恋するクソ野郎」)、坂井圭絵監督(「ラブホテル」)
×西尾孔志さん(映画監督)ゲスト・トーク

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連日舞台挨拶・ゲストトークが繰り広げられてますね。

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『ラブホテル』(2011年/日本/29min)


坂井圭絵監督が授業の一環で制作した作品。京都造形大生ということで、左京区の知ってるとこがちょいちょい映ってましたね。短編なのでサラッとコンパクトによく出来ている。明るい室内の窓ガラスの写り込みを利用した構図や、奥の部屋と手前のユニットバスの構図等、結構自信ある構図(こだわってる)なんちゃうかなと思ったり。頑張ってるキメキメ感がにじみ出てるけど結構好きかな。
坂井監督と主演の片岡春奈さん、雰囲気が似てるのでずっと頭の中で1人の人間(同一人物)かと思ってた(名前違うのに何故か思い込んでた)らトークの時に2人出てきたので、別人やということが判明。そっかそっか。次の作品も観てみたいですね。

・『ラブホテル』予告篇

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『恋するクソ野郎』(2011年/日本/57min)


そして、私めがチラシの絵を描いた(表裏のデザインも全部やった)谷口恒平監督『恋するクソ野郎』ですよ。今回観るの5回目(絵描くのに4回観た)。
正直最初の印象は、色々荒いしもうちょっと練れるんちゃうか?とか映画を撮らない一観客目線で好き勝手思ったけど、4回目位から段々面白くなってくるね。(いや、元々が面白くないわけじゃなくて、本人も知ってるし、半笑いになりそうに真剣に演じてる顔が妙に面白い。)荒いけど考えてるとこはちゃんと考えてるなと思うし。ほんで、観れば観る程、客観的に観れんようになってくるね。ので、ちょっと冷静に感想を書けないけど。会場もウケてたよ。お客さん結構入ってたし。
本編でこのチラシになったら、自分の中でやけどちゃんとイメージが重なったし、このチラシええ仕事してると思うな、我ながら。今回1回きりの上映で、これからまた他の場所で展開してくと思うので、機会があったらこのクソ野郎を観て欲しいです。

・『恋するクソ野郎』予告篇

『第10回新京極映画祭』

新京極シネラリーベで開催してた”第10回新京極映画祭 花に嵐”へ、
いまおかしんじ監督『おんなの河童』が上映されるとので観に行く。
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新京極御用達イラストレーターの中川学さん、剣道未経験者だね。
胴ヒモの結び方がおかしいね。とか思ったり。

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新京極シネラリーベ

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時間なくて慌てて撮ったからボケボケやけど。。。
”PINKY MAGIC(R18)”というピンク映画枠2本立てで『おんなの河童』『OLの愛汁ラブジュース』を観る。
久しぶりに『おんなの河童』を観たので客観的に観れたけど、面白いし名作だね。切なくてエエ話やし。『OL〜』の方は、1999年公開当時の時代や空気(椎名林檎さんの曲が使われてたね)や、若者感を感じたね。おもしろかったね。主演の久保田あづみさん、ちょっとタイプやったかな。

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『おんなの河童』のチャゲ(正木佐和さん)と青木くん(梅澤嘉朗さん)の舞台挨拶で来場されてたのでご挨拶。お二人とも魅力的な人でした。河童ポーズでパチリ。

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その後、打ち上げにお邪魔しつつ。2時頃まで盛り上がったのでした。
で、お約束の河童ポーズで。愉しかったな。

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電車なくなったので歩いて帰る。
”スーパームーン”とかいう月がでっかいらしいやつやったみたいやけど。
望遠の圧縮効果的な撮り方しな、デカさは伝わらんね。
(ちなみに画像真ん中の赤丸が月)

『MOOSIC LAB 2012』

SPOTTED PRODUCTIONS主宰【音楽(MUSIC)×映画(MOVIE)の実験室】=「MOOSIC LAB 2012」第2弾。新進気鋭のインディーズ映画監督×ミュージシャンによる劇映画、ドキュメンタリー、アニメーションなど全12作品を観る。

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『MOOSIC LAB 2012』
短いものは11分〜長いもので、65分と十二者十二様に見事なものから破綻してるものまで色んなバリエーションがありますね。ドラマ付きPVなものから、ちゃんと映画になってるものまで。どんだけとっ散らかろうが、ストーリーが成立しまいが最後に曲を流しちゃえば良くも悪くもPVっぽくまとめられるなという印象。が、これも関わってるミュージシャンがしっかりした核をもってるからであって。作品によっては、ミュージシャンが勝ってるもの(ミュージシャンのカリスマ性ありき)から、監督とミュージシャンの相乗効果を発揮してるもの、監督の世界観が全面に出てるものとあるね。以下大まかに個人的感想。観た順番に。


●『サマーセール』
 岩淵弘樹監督 45min
大森靖子さんのPV(ドキュメンタリー)を撮ろうとして失敗した男の話。片想い。コンセプトが曖昧な状態で見切り発車してしまった感じ。途中で反省・ダメ出しを挟みつつ後半、大森さんの曲でまるく収めている(収められている)。劇中で監督が大森靖子さんに”いつも一人に見える。隣にいてあげたい”と言うが、そんな支えはなくとも大森靖子さんは一人どっしりとたくましく生きてはるし、大森さんへの接し方も何とか威厳を保とうと変に強い口調になったりと、中々痛々しい。こういう片想いの情けない感じは、誰にでも経験があると思うし。映画的に失敗とも取れるが、この監督のヘッポコさの対比で大森さんの凄さが増すので、そういう意味ではPV(ドキュメンタリー)としては成功?なのかもしれない。自転車二人乗りの画が良かった。
・『サマーセール』予告篇
・『サマーセール、その後』


●『お兄ちゃんに近づくな、ブスども!』
 内藤瑛亮監督 30min
『牛乳王子』『先生を流産させる会』の内藤監督。『童貞。をプロデュース』『おんなの河童』梅澤くんが出てることもあり楽しみにしていた作品。梅澤くんが出てるだけで面白いし、梅澤くんのことが好きな可愛い妹が梅澤くんを他の女子から守るというシチュエーションがまた凄い。井口昇監督『恋する幼虫』『クルシメさん』にも通ずる様な部分もあるね。内藤監督作品は『牛乳王子』しか観れてない(『先生を流産させる会』、『廃墟少女』早く関西に来て!)から一概には言えないけど、撮りたい部分だけ撮ってキャラの細かいバックグラウンドはそんなに重要視してないのかもしれないね。ま、短編なのでそこまで細かく描けないし描く必要はないんだろうけど。ホラーだけどギャグ映画ですね。
・『お兄ちゃんに近づくな、ブスども!』予告篇


●『nico』 今泉力哉監督 63min
今泉監督の映画は観たことないけど、今作やTVドラマ『エアーズロック』の感じから山下敦弘監督系のクスッとさせる会話劇系の人なのかな?会話が噛み合なさ具合もイヤらしさがなく結構好きなタイプ。ドラマと劇中劇を境目なくミックスしていて、それがファンタジーな世界観を生むも、北村早樹子さんの曲でドラマ入りPVな感じでまとまっている。曲が入れば丸く収まるのがミュージシャンの凄さと言うかズルさと言うか。それだけの腕があるんだろうけど。今泉力哉監督作品もっと観たいな。


●『恋はパレードのように』 天野千尋監督 50min
森下くるみさんが初脚本をしている作品。紅一点女性監督っぽい繊細な作品(小物やファッションの気の使い方が他の男子監督とは明らかに違う)。SPOTTED701(zine)周辺で平賀さち枝さんの存在は知ってたが、今回初めてちゃんと曲を聴いたけどイイね。映像やストーリー、ファンタジーな感じも平賀さち枝さん(さっちゃん)の雰囲気にピッタリだね。森下くるみさんもカメオ出演してたし、山田真歩さんがえらく大人なキャラで雰囲気がちょっと森下くるみさんっぽかった。平賀さち枝さんの魅力が伝わって良かった。
・平賀さち枝 “恋は朝に” PV


●『家をたてること』
 長谷部大輔監督 36min
これ結構好き。他の住民の生活感のない団地(マンション)で遠くで聞こえる工事の音?が『三月のライオン』っぽい(エヴァンゲリオンの綾波レイの家の周辺的な)。起こってるドラマに対して優しい曲のギャップがコントだね。ビックリする展開もあり、36分の中にキレイにコンパクトにまとまっててバランスがいい。子供もエエ表情してたな。長谷部大輔監督の他作品もチェックしてみよ!
・『家をたてること』予告篇


●『ムージック探偵 曲菊彦』 田中羊一ヤング・ポール共同監督 50min
”ムージック”をタイトルに入れ挑戦的でいい。ただ、おもしろいかおもしろくないかで言うと、微妙かな。けどこれまた、最後曲が掛かると何となくまとまってる風に収まるな。良くも悪くも。オシャレ〜な画的にCMやそれこそPV(1曲分)の尺の方が合いそうな気がするかな。ストーリーどうこうより空気感というか。ラストのシーン良かった。


●『home home home』
 手塚一紀監督 50min
4組のミュージシャンのインタビュー+曲の音楽ドキュメンタリー。
プロモーション的インタビューなので、こういう人らがいるんやねくらいで、感想どうこうってのではないね。ムージックのバリエーションの1つな感じかな。やまはき玲さん結構タイプやな。


●『きたなくて、めんどうくさい、あなたに』 吉田浩太監督 11min
11分1カット(16mmフィルムの限界)で撮った作品。曲も1曲入れつつドラマチックな展開で有効な1カットだね。これは見事!の一言。MV(ミュージックビデオ)としても短編映画としても完成度が高い!”映画<MV”の作品(曲やミュージシャンが勝ってる(ミュージシャンを立ててる)もの)が多い中、これは見事に”映画=MV”になってるね。吉田浩太監督作品は、どれも好きです。


●『労働者階級の悪役』
 平波亘監督 65min
クラシックなドラマや設定やね。時代背景や国籍(日本なのか日本っぽい国なのか)は謎だけど、監督はこういうクラシックな感じが好きなんかな?と思いつつ。そのわりにギターケースがえらく現代的やったけど。漫画の様な分りやすい展開だけどメッセージ性もあって、これは”映画>MV”とちゃんと映画になってるね。劇中でずっと歌ってた松野泉さん(本業は映画監督)の作品は観たことないけど、気になる存在やね。年齢不詳やけど、調べたら年下(31歳!!)やがな!えらい貫禄やね。映画の質感のせいもあるけど。ビックリ。
・『労働者階級の悪役』特報


●『新しい戦争を始めよう』
 竹内道宏監督 50min
フェイクドキュメンタリーで、監督が自分で出てるけど演技が大根過ぎるね。妹役の佐津川愛美さんとの演技の差が激しい。笹口騒音ハーモニカのカッコ良さと交友関係・登場人物の豪華さでもってる感じかなぁ。笹口騒音ハーモニカはカッチョよかった。
・『新しい戦争を始めよう』特報


●『Big Boss』 岩井澤健治監督 15min
キャラクターデザインを大橋裕之さんがやってるアニメーション。ゆるい絵に対して、歌が滅茶苦茶シブくて、そのギャップが凄い!勝(まさる)さん凄いなぁ。これはPVというより、ちゃんと短編アニメ映画になってるね。


●『アイドル・イズ・デッド』 加藤行宏 61min
これ1番好き!アイドルもんかと思ったら、アクションもんやね。
今作でBis(新生アイドル研究会)っていうアイドルの存在を知ったけど凄いね!初めて知ったから和田みささんも実際のメンバーかと思ったら違うんやね。この和田みささんイイ演技するしイイ味出してる!『SRサイタマノラッパー』TOMさんも出てたし、『SRサイタマノラッパー2』に出てた加藤真弓さん、美人でカッコイイ感じやったけど、今作ではまた強烈な演技してるね。吹っ切れててイイ!Bis自体もアイドルながら(元々メタアイドル的なことをしてるみたいやけど)、可愛さ度外視のパフォーマンスを見せてる(それがイイ)にもかかわらず、ちゃんとアイドル映画としても成立してるのが凄い。短い尺の中で成長するし、感動すら覚える。もちろんガールズアクションものとして成立していて面白い!これはソフト化されたら是非とも購入したいし、加藤行宏監督の『人の善意を骨の髄まで吸い尽くす女』まだ未見だったけど、俄然観たくなりました。”MOOSIC LAB 2013”で是非『アイドル・イズ・デッド2』やって欲しいな。渇望!
・『アイドル・イズ・デッド予告篇


と、言う感じでそれぞれ違った味わいがあって面白かったなぁ。出来るだけ種類を観るのがいいね。要注目監督が集まってるし、知らないミュージシャンとの出会いもあってMOOSIC LAB熱いなぁ。要注目ですよ!

・『MOOSIC LAB 2012』
・『MOOSIC LAB 2012』予告編
・『MOOSIC LAB 2012-名古屋?音楽と映画のはらわた編-』予告編
↑噂では京都編も制作中らしいいよ?!

おまけ。
・恐怖バーUSTアーカイブ・SPOTTED直井さん出演回。MOOSIC LABを語る。

『少年と自転車』

京都シネマで、ジャン=ピエール・ダルデンヌ&リュック・ダルデンヌ監督
『少年と自転車』を観る。
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『少年と自転車』(2011年/ベルギー・フランス・イタリア/87min)


リアルで痛々しくもあり、え?!そんな終わらし方?!みたいな部分もあったけど、観終わった後味的に、まぁ良かったんかなぁ〜って感じかな。主人公の少年シリルがまたイイ演技するなぁ。取りあえずは、チャリンコにはカギしなアカンなということやね。

・『少年と自転車』
・『少年と自転車』予告

『恋するクソ野郎』チラシ制作。

というわけで、昨日作ったパーツを組み合わせて
谷口恒平監督映画『恋するクソ野郎』が5/8(火)に京都みなみ会館で公開されるのに際してチラシを制作しました。

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『恋するクソ野郎』(2012年/日本/57min)

というか、
かなり、どインディーの自主映画なので絵だけでなく、チラシの表裏のデザイン全部僕が作りましたがな。デザインは本業ではないのでちょっと変なとこもあるかもしれないけど、味ということで。センスと勢いです。

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↑コチラ、でっかい画像(クリックで拡大)。

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↑コチラ、裏面(クリックで拡大)。

ということで、
ま、このチラシの絵の女子開脚ポーズは劇中でも象徴的シーンなんだけど、女子開脚構図の映画チラシでよくあるコレ参照)ので、ちょっと知恵を絞る。我ながらエエ感じになったんちゃうかなと思うんですが。

とりあえず、5/8(火)に京都みなみ会館の特集”Mogen Sie Kino? 映画は好きですか? vol.1 京都の映画作家”内で、1日限定上映で、これから色々展開していく様だ。
で、この日は谷口監督も登壇してトークもあるそうだ。
詳しくは、京都みなみ会館”Mogen Sie Kino? 映画は好きですか? vol.1 京都の映画作家”特設ページで!

・『恋するクソ野郎』予告篇

映画『恋するクソ野郎』チラシ原画。

谷口恒平監督『恋するクソ野郎』の映画チラシ用の絵を制作。
以下原画が出来るまで。

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ヒロイン・吉田さんの顔。

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マフラーを巻く。

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ニットのセーターを着る。

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ノースフェイス的な、マウンテンパーカーを用意。

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着せる。

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下半身。スカート・足・タイツと別パーツで構成されてます。

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組み合わせて完成。

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続いて、他の登場人物を用意。
この他、雲なんかも用意。

つづく。

『メランコリア』

新京極シネラリーベで、ラース・フォン・トリアー監督『メランコリア』を観る。
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『メランコリア』
(2011年/デンマーク・スウェーデン・フランス・ドイツ・イタリア/135min)


シャルロット・ゲンズブール
キルスティン・ダンストに、シャーロット・ランプリングと主役級の人らの豪華な面子やね。『ドラゴン・タトゥーの女』マルティンも出てたね。キルスティン・ダンストは、作品によって可愛いかったブサイクだったりするけど、今回は後者かな。
兎に角、冒頭のスローモーションの映像は素晴らしいね。精神的に病んでいるジャスティン(キルスティン・ダンスト)のイメージの世界を表してるんやけど、予告篇の様なダイジェストの様な感じなので、それを観せつつ本編で現実視点で描いてるんだけど、1回ダイジェストを観せられてるので、話の向かう方向は分るので、どんでん返しがあるのか?と思ったらそのままやったね。最後どういう表現するのかと思ったらコントの様な終わり方やね。実際あんなことなったら、もうどうにもならんもんね。それを想像すると怖いね。カメラワークも手持ちの不安定で忙しない感じ(第三者の誰かが覗き見してる様な視線)と、クラシックの曲が不安感を無茶苦茶煽るし。結婚式のシーンもちょっと長い気もしつつ。ま、映像美を楽しむ感じかな。うん、冒頭部分はよかった。
あと、『去年マリエンバートで』(まだ観れてないんだけど)の庭に似てたね。三角形の植木とか。


・『メランコリア』

・『メランコリア』Trailer
・『メランコリア』冒頭シーン