『聴こえてる、ふりをしただけ』『tarpaulin』

京都みなみ会館で、今泉かおり監督『聴こえてる、ふりをしただけ』を観る。
今泉力哉監督の奥さんですね。

『聴こえてる、ふりをしただけ』(2012年/日本/99min)


ええ話やったね。カメラアングルも終始子供の目線の高さで、なんかその画が新鮮だったし、大人目線で撮ったのでなく、ちゃんと出演してる子供らの高さまで降りて行って撮ってる印象だった(小手先でなく)。子供らもイイ演技してたし。これ、子供に観せてもいいかもしれない。道徳の授業(←今もあるのか知らないけど)なんかで。クラスの何人に響くと思うし、個人的にも子供の頃に道徳の時間に視聴覚室で観た映像とかあって結構残るもんね。で、それが子供向けに特化した作りでなく大人が観てもイイ感じだし。今泉かおり監督作品、今回始めてみたのでどういう作風か全く知らずに観たけど、次期作品も注目ですね。

・『聴こえてる、ふりをしただけ』オフィシャルサイト
・『聴こえてる、ふりをしただけ』予告篇(ディレクターズカット版)


つづいて、旦那の方。

『tarpaulin』(2012年/日本/28min)


今泉力哉監督『こっぴどい猫』のスピンオフ。『こっぴどい猫』に出て来る夫婦の話。28分ワンカットで撮られた作品なんだけど、何テイク目なのかわからないけど、冒頭からすでに日が暮れそうで暗い画面。最後は暗過ぎて正直成功してるとは言いがたいけど、あの面倒臭い性格の夫婦が、最後は(暗さのせいで)表情もわからずシルエットだけになって良い話っぽくなるし、そこを狙ってるのかもしれないね。”フェス”ネタもちゃんと活きてくるし。最後の場面は明るい昼間過ぎても変な感じだろうし。ギリギリ夕方を狙ってたのかもしれない。(ちょっとその演出は上手くいってないけど)難しいんやろうけど。なんかMOOSIC LABの作品の1本に入ってそうな作品かな。

・『tarpaulin』予告篇

『劇場版 魔法少女まどかマギカ』前編・後編

T・ジョイ京都で、『劇場版 魔法少女まどかマギカ』[前編]始まりの物語 [後編]永遠の物語 を観る。

『劇場版 魔法少女まどかマギカ』[前編] 始まりの物語(2012年/日本/130min)
『劇場版 魔法少女まどかマギカ』[後編] 永遠の物語(2012年/日本/109min)


今回の劇場版観に来る前にTV版を通して観る。
TV版放送当時、正直4話くらい観て脱落してしまったのだ。個人的にシャフト作品は好きなんだけど、”あ〜、ひだまりスケッチの絵かぁ〜、ちょっとしんどいなぁ。。。”ってのと、よくあう魔法少女ものなんかな(まんまとダマされた)。とスルーしてしまった。で、今回TV版を観て、蒼樹うめさんの”ひだまりスケッチ絵”が異化効果で効いてるし、このキャラクターデザインにも愛着が沸いてくるね。一回脱落してる分、スタートが低いので絵の好き嫌いを越えた作品が良かった場合、振り幅がでかいのでヤラれてしまった。おもしろいなぁ。

そして、物語の壮大さに反して、え?これ全12話なん?!ってビックリするね。普通1クールでこんな壮大な世界観だと、12話じゃたらなかったり薄っぺらいパターンがあるけど、これは無駄がなくてビッチリ詰まってるな。良くあるのが、海水浴、夏祭り、学園祭的イベントが間に挟まって、またか!って感じだけど、これはそんな遊びがほとんどないし、全部のセリフや画に意味があって全て繋がるし、今回映画版で2周目観たけど(ストーリーを知ってるので)全部が伏線だね。よう出来たあるは。
で、劇場版はTV版の総集編だったんだけど、TV版が12話(1話20数分)の無駄エピソードのない研ぎ澄まされたものなので、前編後編計239分でもほとんど取りこぼしもないし、 239分でちゃんと事足るね。絵やキャラクターもキレイになってた。

普通の魔法少女ものの華やかでポジティブなものでなくて、その裏側の苦悩だったり女子の思春期のモヤモヤ(男子なのが悔しいくらい。とはいえ、作ってるのは男の人だし、男子にも女子のそういう部分に憧れる部分はある)した感じが何か見えたような、この上手く説明出来ない感覚が手でつかめそうになった(映画『エコール』でもその”何か”が一瞬つかめそうになった。数日でそれは薄れていっちゃうんだけど)ね。男子で言うDTの感覚に相対するもんなんだろね、それは。これは、まいった。
やっぱ流行ってるもの、みんなが良い良い言うものは、やっぱ良かったりするもんね。 食わず嫌いじゃなくのっかってみて善し悪しを判断しなアカンなと。損をしてるだけだし。
あと、劇場でエヴァQの予告篇観たけど、いや〜早く観たい!!

・『劇場版 魔法少女まどかマギカ』オフィシャルサイト
・『劇場版 魔法少女まどかマギカ』予告篇

『モンスター上司』

セス・ゴードン監督『モンスター上司』を観る。

『モンスター上司』(2011年/アメリカ/98min)


↑チラシにあるとおり、”パワハラ”、”セクハラ”、”バカハラ”の上司にそれぞれ悩む3人が復讐に挑む話。単純明快でおもろかった。セクハラしてくる女上司はジェニファー・アニストンなんやね。貫禄あるね。とくにコメディ部分がスベッてるわけでもないし、まぁ、安心して観れるはな。海外ドラマ的なノリやね。

・『モンスター上司』オフィシャルサイト
・『モンスター上司』Trailer

『いのちの食べかた』

ニコラウス・ゲイハルター監督『いのちの食べかた』を観る。

『いのちの食べかた』(2005年/ドイツ/92min)


食育系ドクメンタリーですね。ほとんどセリフも説明もなく、淡々と色々な動植物が”食べもの”になってく様を撮った作品。深夜にボケーッと観ちゃう感じだね。ショッキングな屠殺シーンもあったり。でも当たり前に全世界で”食べもの”になるものの前に繰り返されていること。個体差のある肉や魚が機械でキレイに”食べもの”になっていく。淡々と撮って正解だし、撮り方も真横、真上の定点や横スクロール(どの画面を切り取っても壁紙になりそうな)とカメラマンの人間味を排除してて、淡々と起こる事象にマッチしてるね。そして同じモノが複数(何千何万匹と)ある画だけで、ちょっとアート作品っぽくも見える画だね。ひよこが機械を流れていく様子はちょっとコミカルさ(ブラックだけど)もあったり。簡略化された工作機械の技術も凄いなぁ〜と思ったし。子どもに観せてトラウマを与えるのも必要だなと思った。(肉が食えなくなる子も出るだろうけど)
『眠れぬ夜の仕事図鑑』を観逃しちゃったのでソフト化されたら観たいな。

・『いのちの食べかた』オフィシャルサイト
・『いのちの食べかた』Trailer

『ラビット・ホラー』(2D)

清水崇監督『ラビット・ホラー』を観る。撮影がクリストファー・ドイルで、特殊造形監修が西村さん、VFXが鹿角さんの作品。アクションのカラサワさんの名前もあったね。正木さんも出てはった。劇場では3Dだったけど、DVDで観たので2D。

『ラビット・ホラー』(2011年/日本/83min)


う〜〜ん、あんまり面白くなかったね。ターゲット層が子どもだったかな?ファミリー層?という感じ。元々3Dなので3Dを想定した演出も多かったので本来の楽しみ方は3Dなのかもしれない。
着ぐるみもあんまり恐くなかった(もちろん可愛らしい着ぐるみが、、、的狙いなんだけど)ね。持っちゃりしてたし、緒川たまきさんの着ぐるみ姿もちょっとギャグというかもっさかったし。途中、流れるように変化する幻覚?妄想?的な見せ方は、ちょっと面白くなりそう?!感はあったけど。なんか突抜けへん印象かな。
満島ひかりさんの演技は、爆発的にキレてるか病んでるかの演技しかほとんどみたことないし、またか!って感じだね。 60〜75%の抑えた演技も観てみたい。ま、こういう演技が求められてるんやろし、ホラー向きなのかね。今回はそうでもなかったけど、香川照之さんの“怪演”も、もぅええて!って感もあるね。
子どもに観せたらちょっとトラウマを与えられそうな感じはあるかな。

・『ラビット・ホラー』公式サイト
・『ラビット・ホラー』予告篇

『女子高生のはらわた』&『血まみれ風呂屋』

田代尚也監督『女子高生のはらわた』『血まみれ風呂屋』を観る。
学生残酷映画祭2010審査員特別賞だったりで気になってた作品。
(↓ちょっとジャケットがギリギリやけど。。。)

『女子高生のはらわた』(2009年/日本/53min)
『血まみれ風呂屋』(2012/日本/16min)


自主制作感満載で、つっこみどころばっかり(デビュー作なので、監督自信も多分思うところあるやろうな)で、本気でつっこむのは野暮なのかな。 王将の餃子(200円)に対して高級中華料理店どこどこの餃子の方が美味いなんて比べるような感じ?
頑張って楽しんで作ってる感じ。ちょっと仮装大賞並の演技だったり、せっかく作った作り物だからその人体破壊のギミックをちゃんと観て欲しいのか、凄い慎重かつ丁寧に撮っててもっちゃりしてるけど。これもさっき書いたみたく撮った本人も思ってる(監督自身がこういうスプラッター系の映画が大好きだろうし、身内でも観てつっこみまくってると思う)だろうし、デビュー作だし。誰でも自主制作で撮ろうとするとこうなるし、誰もが通る段階なんだろし。で、このDVDに入ってた撮り下ろしの『血まみれ風呂屋』観たらちゃんとしてたし。『血まみれ風呂屋』のタイトル良いね。よくこの風呂屋が撮影許可したもんやね。
最近こういう、ジャンル系の若い人がちょこちょこ出てきてるので、今後どうなってかはるのか楽しみですね。

・『女子高生のはらわた』公式サイト
・『女子高生のはらわた』予告篇
・『血まみれ風呂屋』予告篇

『メリエスの素晴らしき映画魔術』&『月世界旅行』

ジョルジュ・メリエス監督『月世界旅行』と、それにまつわる映画史ドキュメンタリー、セルジュ・ブルンバーグエリック・ランジ監督『メリエスの素晴らしき映画魔術』を観る。

『メリエスの素晴らしき映画魔術』(2011年/フランス/63min)
『月世界旅行』(1902年/フランス/15.32min)


史上初のSF映画、ジョルジュ・メリエス『月世界旅行』(1902年)。110年前の映画で、今では当たり前の手法も当時は凄い事だったろうし、最初にやった人にしかもう味わえないものあるんやろうけど。実際の活動は16年間位(当時52歳)。といのも海賊版や模倣が横行(この時代から現在まで、まだ海賊版問題はなくならないね)したことや、観客に飽きられてしまった(当時の世間の趣向が空想めいたコメデイタッチのものから現実のシリアスなものに移っていった)。で、何年後かに、コアな映像作家らに再度発掘される形に。これは、いつの時代のあらゆること芸能人だったり流行りものにはありがちなことで。メリエスは、500本あったフィルムを自ら焼却しちゃうんだけど、後からその文化的、映画史的価値に気付いた人らが現存するフィルムをかき集めて復元。しかも、復元し始め当時は技術がなかったのが近年やっと技術が開発され、今回『月世界旅行』のカラー&デジタルリマスター出来たとのこと。
古いフィルムは材質も悪く劣化が激しく加水分解という巻かれたフォルムがカチンコチンに結晶化してしまうみたいで、それを長時間掛けて蒸したり試行錯誤して剥がしとったり、欠落してる部分は何本か現存する別のフィルムから繋ぎ合わせたり、またバリバリに割れた部分もデジタルで復元され、その技術も労力も凄いね。

で、完成した『月世界旅行』(復元版)を観たのだけど、凄いね。アニメーションもさることながら劇画チックなSFセットがたまらないし、このファンタジー感たまらないね。そして、当たり前だけど、映画って1枚の絵が何枚も連続することで出来てるんだなぁ〜ってあらためて思った。
今、映画のデジタル化、VPF問題で全国のミニシアターの存続が危ぶまれてるけど。メリエスの時代もサイレントからトーキーに、その転換期でも色々あっただろうけど、このVPF問題も何十年、百年経つとガラッと変わってそうだし、メリエスみたくフィルムの貴重さが再確認されたり同じようなことが繰り替えされてく気がするな。

・『メリエスの素晴らしき映画魔術』&『月世界旅行』オフィシャルサイト
・『メリエスの素晴らしき映画魔術』&『月世界旅行』Trailer

・『月世界旅行』モノクロ版

『ピザボーイ 史上最凶のご注文』

ルーベン・フライシャー監督『ピザボーイ 史上最凶のご注文』を観る。
『ゾンビランド』のチームが作った映画ですね。
京都シネマでかかる予定だったのが中止になったやつですね。

『ピザボーイ 史上最凶のご注文』(2011年/アメリカ/82min)


ちょいちょい色んな映画ネタが入ってたり映画オタクのスタッフで作ってる感じだね。登場人物全員パッとしない(おっちょこちょいだったりまぬけだったり、憎めない)し、極悪な人はいない?ので、まぁ安心して観れるわね。主人公も敵も友情の映画かな。サクッと観れた。

・『ピザボーイ 史上最凶のご注文』オフィシャルサイト
・『ピザボーイ 史上最凶のご注文』Trailer

『飯と乙女』

栗村実監督『飯と乙女』を観る。

『飯と乙女』(2010年/日本/75min)


キシケンさん(岸建太朗さん)が出てるやつですね。井口・西村監督系でしか観ない(というかほとんど出てるよね。「恋チョコ」「でんぱコネクション」にまで出てるよね)ので、大芝居キャラじゃなくて新鮮。プライベートは滅茶苦茶紳士的で良い人なんですよ(以前ひょんなことからラーメンをおごってもらった)。 ロン毛は、この映画で切らはったんですね。
映画の方は、設定や撮り方が割と荒削り(横スクロールの室内の撮り方だったり、一人暮らしの男のフライパンがめちゃくちゃ大きかったり、会社のシーンの置くの棚に「バレーボーイズ」やマンガが並んでたり。と思ったら、この監督「バレーボーイズ」の映画に関わってるからか。なるほど)な部分もありつつ。料理自体はそんなに美味そうじゃないけど美味そうというか。料理モン映画的には割と作って出し(キメキメに美味そうに作り込んだ感じでなく)で素人臭さもあるけど、それが逆に食欲をそそるし、食べる咀嚼音が美味そうやったね。あとは食にまつわる”あるある”的なエピソードが散りばめられてたり。3組の男女の話だけど、わけあり具合が描かれてる人とあまり明かされない人とまばらな感じだね。メリハリともいえるけど。
長編初監督作品とのことで、次どんなのを撮らはるのか気になるところですね。

・『飯と乙女』オフィシャルサイト ←音が美味そう。
・『飯と乙女』予告篇

『ドカベン』

鈴木則文監督『ドカベン』を観る。

『ドカベン』(1977年/日本/85min)


僕が生まれる前の作品だけど、昔(結構前)テレビでやってたのを観た記憶があるねんな。
この質感、ギャグセンス(投げられたら空飛んだり、壁や天井をぶち破ったり)はイイね。衣装(柔道着や学ラン等)やセットの汚し感もたまらないし、弁当やご飯のくたびれ感もイイね。みんな結構似てるし。サチ子も可愛らしかった。このニュアンスを今も(今のカタチで)受け継いでるのは井口昇監督だろうね。 水島新司先生が出てたね。

・『ドカベン』
・『ドカベン』予告篇←チラッとオーディションの様子が入ってる。

『僕らのミライへ逆回転』

ミッシェル・ゴンドリー監督『僕らのミライへ逆回転』を観る。

『僕らのミライへ逆回転』(2008年/アメリカ/101min)


意外に良い話やったね。サクッと観れた。サラッとし過ぎな感もあるけど、すぐ終わった印象があるかもしれない。街中の人で作った映像は良い感じやったね。多分撮ったもを冒頭でかける手法なので、後から作るシーンがあって完成して、その集大成を最後観るパターンじゃないので最後サクサクッと終わった印象なのかもね。もっといけそうな気がしたかも。

・『僕らのミライへ逆回転』
・『僕らのミライへ逆回転』Trailer

『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』

ダニエル・アルフレッドソン監督『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』を観る。スウェーデン版の「ミレニアム」3部作の第3弾。

『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』(2009年/スウェーデン/148min)


いよいよ、完結編!色々あって、今作は法廷劇。おもしろかった!
この頃には、この2人やミレニアム編集部の人らにかなり愛着沸いて入り込んだね。「ミレニアム2」が”動”やったら「ミレニアム3」は”静”な感じ。だけどドキドキ楽しめた。これ3部作一挙放送とかあっても全然連続で観れちゃうね。
ラスト、ミカエルの妹と車で別れるシーンで言おうとして言えなかった言葉と、最後ミカエルには言えた言葉。そしてミカエルとの関係性(距離感)。
リメイク版続編どうなるのか楽しみだわね。

・『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』オフィシャルサイト
・『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』Trailer

『ミレニアム2 火と戯れる女』

ダニエル・アルフレッドソン監督『ミレニアム2 火と戯れる女』を観る。
スウェーデン版の「ミレニアム」3部作の第2弾。

『ミレニアム2 火と戯れる女』(2009年/スウェーデン/130min)


いよいよ、ここから未知なる領域、知らない話が始まります!
前作『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』 では、自然に囲まれた島が舞台だったけど、今作はストックホルムの街中が舞台。前作でノオミ・ラパス版リスベットにミカエルにも愛着が沸いてきて、ここから話が変わっていって、今度はリスベット自体の過去(生い立ち)がテーマで、あのレイプ魔の後見人が事件に絡んでくるんだね。短髪でごついおっさんが一杯出てきてちょっと見分けつきにくいけど、なんとかついてけた。リスベットは天才ハッカーなだけじゃなく、肉弾戦というかバンバン攻めてきますね。格闘シーンもあったり、最後あんなことになったり(リメイク版の続編はどうなるんだろね?)、続きの第3弾がメチャメチャ気になった!第2弾、第3弾は前編後編みたく対になってるストーリー。

・『ミレニアム2 火と戯れる女』オフィシャルサイト
・『ミレニアム2 火と戯れる女』Trailer

『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』(完全版)

ニールス・アルデン・オプレヴ監督『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』を観る。スウェーデン版の「ミレニアム」3部作の第1弾。

『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』(2009年/スウェーデン/180min)


先にデヴィッド・フィンチャー監督のリメイク版『ドラゴン・タトゥーの女』を観てどハマリしたんだけど。その中でも、ルーニー・マーラー版リスベットの魅力にヤラれちゃった部分もかなり大きいので、ノオミ・ラパス版リスベットが、観る前の印象から正直グッとこなかったけど、観終わる頃には愛着が沸いてきたね。結構筋肉質(アクション系)だね。ミカエルも三枚目だね。
今作のストーリー(犯人や結末)を知ってるので、推理的要素よりリメイク版との違いを楽しめておもしろかった。微妙に設定が違ってたりしたけど原作本は読んでないので、原作との違いは置いといて。オリジナル版の良い所はそのままにリメイク版はよりスタイリッシュに洗練された感じだね。オリジナル版は泥臭い感じ(リスベットのバイク乗る時のバイカースーツが水色でもっちゃりしてたり、ミカエルと2ケツしたり)もありつつスウェーデンの北欧の映画感もありつつ。リスベットの過去も匂わしてるね。
ラストは、リメイク版の方がドラマチックだね。とはいえ、続編が滅茶苦茶気になる!

・『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』オフィシャルサイト
・『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』Trailer

『変態(メタモルフォーゼ)アニメーションオールナイト』

京都みなみ会館のオールナイト上映『変態(メタモルフォーゼ)アニメーションオールナイト』を観る。CALFプレゼンツの海外の変態(メタモルフォーゼ)系アニメーションを夜通し観るイベント。

このフライヤーええ感じやね。


上記3人が、各作品の合間にちょこちょこ出てきて解説。


・エリック・アルヌルム、ミケル・レーハ、マリ=リース・レバン、マリ・パッカース『草上の朝食』
酔っぱらいのフラフラ感とマネの「草上の昼食」のパロディ。オールナイト上映が導入のジャブ的な感じかな。

ヨニ・マンニスト監督『群れ』
かわいいタッチの虫がうじゃうじゃ出て来る作品。ポップな絵だけど、身体がかゆくなったかな。

ピーター・ミラード監督『卵のサンドイッチと数機の飛行機、そしてオレンジジュースを一杯ください』
ピーター・ミラード監督『本当に素晴らしいリンゴをいくつか買った』
ピーター・ミラード監督『ブラーーーーーグ』
ピーター・ミラード監督『カスタード』
全部短くて、パッと来て暴れて、サーッって去ってく感じ。絵も効果音(口でゆってる?)も非常にゆるい。オールナイトのアイキャッチ的な感じかな。

エバート・デゥ・ベイヤー監督『ゲット・リアル』
オランダの巨匠らしいけど、元々の作品をしらないけど、その人が3Dアニメーションに挑戦したとか。色鉛筆かカラーボールペン?で描いた質感は嫌いじゃないかな。

マルティン・スノペク&イヴァーナ・ラウチコヴァ監督『ラスト・バス』
動物の質感がイイ感じだったけど、オールナイトの開始が23時〜だったので、眠気がきて話をちょっと覚えてないなぁ。。。今、Trailer観るとおもしろそうやね。

フィル・ムロイ監督『さよならミスタークリスティー』(日本初公開)
その眠気の続きでこの作品もかなりキツかった。一人で作ってはるらしいけど、絵がかなり単調で人物もほとんどが正面か横顔の黒いシルエット。これが本編というよりはビデオ・コンテで、この仮映像を見て、実写なり本描きのアニメにするためのもの?かと思った。ひたすら会話劇。世界観についていくのがキツかった。ちなみに、これは3部作の第1作目このあと2部が来るとはこの時まだ知るよしもなかった。

ピーター・ミラード監督『ホーガン』
休憩前のアイキャッチ。

ロバート・モーガン監督『ボビー・イエー』
グロめのキャラや世界観。よく出来ている。グロいけどちょっとした仕草に愛嬌があるし、ギャグ的な要素もあった。おもしろかった。あと、赤いスイッチ(そのボタンを押すと変態する)の筆あとが凄い気になったなぁ。小さいものなのでアップになるし、肉の生々しさに対して凄い気になった。

ブルース・ビックフォード監督『インヴァーション・レイヤー』(日本初公開)
この人も凄かった。元々クレイアニメの作家で今作は線画。仙人のような暮らしをしてて、誰かがストップをかけるまでどんどん制作が続いてくらしく、今作もまだ進行中らしい。この人はもくもく感?(ふわふわ感?)というか、物が膨張する感じが好きなんだろね。凄い量のキャラがそこら中で煙のようにウワ〜ッてなるね。ストーリーはあってないような感じ。自分が気持ちいいと感じることだけをひたすらやってはる感じ。ちょっとアウトサイダー系の人なのかな?電気グルーヴのPVなんかにも合いそうな気がした。

ブレント・グリーン監督『あのとき 重力は』(日本初公開)
小洒落た感じ。結構長かった。ところどころ画像にペイント?した洪水の表現や、交通事故のシーンとかおもしろい表現もあった。神に近づくために家をどんどん建て増ししていくんだけど、思ったほど塔感がなかったかな。ファンタジーな感じだけど、もうちょっと塔の高さが欲しいかな。実際の高さが出せなくとも洪水であの表現なので、何かしらいけそうな気もしつつ。実際はミュージシャンが生で演奏しながら上映するらしく、生だともっと凄いのかもね。

ピーター・ミラード監督『サンタクロース』
休憩前のアイキャッチ。

フィル・ムロイ監督『死亡以上埋葬未満』
さっきあったミスタークリスティーの続き。そうとは知らず、始まって「また、ミスタークリスティーかよ!」って転げそうになったけど。なんか今回話がおもしろくて引き込まれた。画はあいかわらずだし、長い暗闇のシーンはセリフと字幕のみのシーンもあって、それはそれで演出なにゃけど。この人の作品は、あんま絵に執着してないのかもしれないね。あの人物表現もミニマリズムやキュビズム的な意味でやってつ感もないし、多分この人はアニメショーンより物語の世界観を表現したい人で絵も得意じゃないんだと思う。普通こういう人は脚本や監督をやって他の人に絵を描いてもらったり実写で物語を表現するだろうけど、この人は自分の絵のマズさもや自分の書いた話にはこういう画がいいって理想もなく、全く絵図らを気にせず個人で全部力ずくでやり切ってる感じ。どんな見え方するかよりも、とにかく物語の世界観を言いたい人なんやろなと思った。雑なシルエットの「かまいたちの夜」を観てる(プレーしてる)感じかな?サウンドノベル映画って言うと納得できるかもしれないね。
そんな感じで第1部は修業に近かったけど、この2部は画は抜きにしてストーリーに引き込まれたし、その微妙なシルエットの人物表現が逆に観る側が必死についていこうと注目させるための表現としてやってたなら凄いね。現在製作中の3部も気になったけど、中々自分から観にいくのはキツいものがあるけど、こういう形で観せらるなら観たいかな。
と思って、このフィル・ムロイさん調べたら元々手描き系の人で、そっちはそんなに悪くないし(むしろイイ感じ)、ちゃんと自分のタッチ(カートゥーン系の)で絵描いてはるし。デジタルな表現がまだ安定してないのかな?

ピーター・ミラード監督『裸で』
ピーター・ミラード監督『ボーゴドビエゴドンゴ』
このゆるい作風のピーター・ミラード監督、なんと世界的名門、王立芸術院に入ったらしく、その大学院で制作した作品。どんな変化があるのかとおもったら、前半は色もなくなり線画でさらにゆるさが加速(幼児返り?)してミニマルっちゃあミニマルでファインアートなことをしてるともとれるけど、大学院で何勉強してんだ?!って心配になる感じもあった。現在は大学院も出てるらしく、今後どうなるのか期待と心配が入り交じった感じかな。

ブルース・ビックフォード監督『CAS’L’』
これは凄かった! さっき観た線画の『インヴァーション・レイヤー』ブルース・ビックフォード監督の本領のクレイアニメ。さっきも書いたとおり、仙人的生活をしてて、誰かが止めるまでひさすら作り続けるらしい。今作も45分なんだけど、同じようなシーンが延々続く(同じ映像じゃなく、新たに何回も作って)し、この人はこれが気持ちよくて何回も繰り返してはるんやろね。ストーリーもあるみたいやけどないね。とにかく人が膨張したり合体して混じり合ってでっかい顔になってまた膨張して破裂したりしぼんだりを繰り返す。
が、何にせよクレイの技術が超絶に凄いし、同じようなことをようこんな何回もするな〜っていう変態っぷり。ヘンリー・ダーガー的なアウトサイダー感もありつつ。『バカドールシアター』に通ずる部分もあるね。
作品として成立させるには誰かが仕切らないと、こんなことになっちゅうタイプの人だね。その変態っぷりは変態っぷりで尊敬するし。とにかく凄いモン観たし、今回のオールナイトで一番収穫だったし、ソフト化されたら買うは。この人のメイキングやドキュメンタリーを観たいね。この人の単体でもいいし、CALFさんで、変態(メタモルフォーゼ)アニメーション作家の生態を追いかけたドキュメンタリー映画を製作して欲しいね。
そして、観終わったあとに、無性にマーブル系のアイスが食べたくなった。

そんな感じで、色々面白いモン観れたし、このオールナイト行って正解やったね。

『ゴッド・ブレス・アメリカ』

京都みなみ会館ボブキャット・ゴールドスウェイト監督『ゴッド・ブレス・アメリカ』を観る。

『ゴッド・ブレス・アメリカ』(2011年/アメリカ/104min)


うん、おもしろかった。内容が内容(世の中の許せない人を銃で抹殺して行く)なだけに賛否(好き嫌い)あるだろうけど、 おもろかった。主人公2人(中年男と女子高生)とも華がないのに、妙に愛着が湧いてくるし。ブラックユーモア具合、世の中の許せない人らが鼻持ちならない感じでスカッとするのかもしれない。映画館でしゃべたり携帯出ちゃう人らをバンバン打っちゃうんは、映画観に来てる人みんなスカッとするというか映画館あるあるをやってるし。とはいえ、やってることは殺人なので結末はおのずと悲しい方にいくわけで。ロードムービー調で、おもしろかったかな。

・『ゴッド・ブレス・アメリカ』公式サイト
・『ゴッド・ブレス・アメリカ』Trailer