”縛ることは、抱きしめること。”
っちゅーことで、『縛師 Bakushi』を観る。
3人の縛る人のドキュメンタリー。最近ドキュメンタリーづいてます。
色んな職業があるもんですね。この縛師、ホント職人です。シンメトリーにキレイに縛っていきます。祇園祭の鉾を縄で組み立てる的な感じにも近いのかな。水引や工芸品的な感じが外国でもウケそう。女の人をアクロバチックに宙吊りにするんだけど、シンクロや雑技団的な”決め”の要素があったり生け花の様な感じで要所要所足の角度をつけたりと様式美を追求してる感じ。
縛る方と縛られる方では、一見縛る方が楽なように思えるが、そうではなく縛られる方がどうして欲しいかを察して縛っていかないといけないので大変らしい。闇雲に縛ったり叩いたりしてるんじゃなく、微妙に強弱つけたりしてるしね。 (みうらじゅんも小説で”SMのSはサービスのS”って書いてたしね )
個人的に縛ったり叩いたりする系のジャンルは性的な意味では趣味ではない(痛々しいのはあまり好きではない。極道感のある刺青もちょっとダメかな。ポップな感じのが好みです。全部脱いでも靴下や足袋を履いたまんまなのは正解)し、”縛ってみたい”願望はないけど、これ観てちょっと”縛られてもいいかな”って思いもよらぬ感情になった。なんとなく縛られる側の気持ちが分かるし、何って言うか、痛気持ちイイ感じ?おでんに、からしを多めに付けてツ〜ンときて涙が出るけど気持ちいい的な感じ?誘拐されてその後殺されるかもしれない状態で縛られるのは嫌だけど、縛師との信頼関係があっての縛られるのなら、ちょっと分かる気がする。
攻めと受けの感じが、何かプロレスにも通ずるところがあるような気もしたかな。
”縛師”とはこういう仕事ですよ的に紹介するドキュメンタリーなら、これで正解だと思う。でも、何か仕事(実演)後の現場での空き時間にインタビューしただけの感じで、それがDVD出た時なんかの特典映像の規模なので、贅沢を言うと、もっと縛師自身のプライベート(仕事後の飲みの席での本音的なものや、どんなところに住んでるとか)な部分まで突っ込んでって欲しかったかなと思ったり、思わなかったり。つーことで。