京都みなみ会館のオールナイト上映『変態(メタモルフォーゼ)アニメーションオールナイト』を観る。CALFプレゼンツの海外の変態(メタモルフォーゼ)系アニメーションを夜通し観るイベント。
このフライヤーええ感じやね。
・エリック・アルヌルム、ミケル・レーハ、マリ=リース・レバン、マリ・パッカース『草上の朝食』
酔っぱらいのフラフラ感とマネの「草上の昼食」のパロディ。オールナイト上映が導入のジャブ的な感じかな。
・ヨニ・マンニスト監督『群れ』
かわいいタッチの虫がうじゃうじゃ出て来る作品。ポップな絵だけど、身体がかゆくなったかな。
・ピーター・ミラード監督『卵のサンドイッチと数機の飛行機、そしてオレンジジュースを一杯ください』
・ピーター・ミラード監督『本当に素晴らしいリンゴをいくつか買った』
・ピーター・ミラード監督『ブラーーーーーグ』
・ピーター・ミラード監督『カスタード』
全部短くて、パッと来て暴れて、サーッって去ってく感じ。絵も効果音(口でゆってる?)も非常にゆるい。オールナイトのアイキャッチ的な感じかな。
・エバート・デゥ・ベイヤー監督『ゲット・リアル』
オランダの巨匠らしいけど、元々の作品をしらないけど、その人が3Dアニメーションに挑戦したとか。色鉛筆かカラーボールペン?で描いた質感は嫌いじゃないかな。
・マルティン・スノペク&イヴァーナ・ラウチコヴァ監督『ラスト・バス』
動物の質感がイイ感じだったけど、オールナイトの開始が23時〜だったので、眠気がきて話をちょっと覚えてないなぁ。。。今、Trailer観るとおもしろそうやね。
・フィル・ムロイ監督『さよならミスタークリスティー』(日本初公開)
その眠気の続きでこの作品もかなりキツかった。一人で作ってはるらしいけど、絵がかなり単調で人物もほとんどが正面か横顔の黒いシルエット。これが本編というよりはビデオ・コンテで、この仮映像を見て、実写なり本描きのアニメにするためのもの?かと思った。ひたすら会話劇。世界観についていくのがキツかった。ちなみに、これは3部作の第1作目このあと2部が来るとはこの時まだ知るよしもなかった。
・ピーター・ミラード監督『ホーガン』
休憩前のアイキャッチ。
・ロバート・モーガン監督『ボビー・イエー』
グロめのキャラや世界観。よく出来ている。グロいけどちょっとした仕草に愛嬌があるし、ギャグ的な要素もあった。おもしろかった。あと、赤いスイッチ(そのボタンを押すと変態する)の筆あとが凄い気になったなぁ。小さいものなのでアップになるし、肉の生々しさに対して凄い気になった。
・ブルース・ビックフォード監督『インヴァーション・レイヤー』(日本初公開)
この人も凄かった。元々クレイアニメの作家で今作は線画。仙人のような暮らしをしてて、誰かがストップをかけるまでどんどん制作が続いてくらしく、今作もまだ進行中らしい。この人はもくもく感?(ふわふわ感?)というか、物が膨張する感じが好きなんだろね。凄い量のキャラがそこら中で煙のようにウワ〜ッてなるね。ストーリーはあってないような感じ。自分が気持ちいいと感じることだけをひたすらやってはる感じ。ちょっとアウトサイダー系の人なのかな?電気グルーヴのPVなんかにも合いそうな気がした。
・ブレント・グリーン監督『あのとき 重力は』(日本初公開)
小洒落た感じ。結構長かった。ところどころ画像にペイント?した洪水の表現や、交通事故のシーンとかおもしろい表現もあった。神に近づくために家をどんどん建て増ししていくんだけど、思ったほど塔感がなかったかな。ファンタジーな感じだけど、もうちょっと塔の高さが欲しいかな。実際の高さが出せなくとも洪水であの表現なので、何かしらいけそうな気もしつつ。実際はミュージシャンが生で演奏しながら上映するらしく、生だともっと凄いのかもね。
・ピーター・ミラード監督『サンタクロース』
休憩前のアイキャッチ。
・フィル・ムロイ監督『死亡以上埋葬未満』
さっきあったミスタークリスティーの続き。そうとは知らず、始まって「また、ミスタークリスティーかよ!」って転げそうになったけど。なんか今回話がおもしろくて引き込まれた。画はあいかわらずだし、長い暗闇のシーンはセリフと字幕のみのシーンもあって、それはそれで演出なにゃけど。この人の作品は、あんま絵に執着してないのかもしれないね。あの人物表現もミニマリズムやキュビズム的な意味でやってつ感もないし、多分この人はアニメショーンより物語の世界観を表現したい人で絵も得意じゃないんだと思う。普通こういう人は脚本や監督をやって他の人に絵を描いてもらったり実写で物語を表現するだろうけど、この人は自分の絵のマズさもや自分の書いた話にはこういう画がいいって理想もなく、全く絵図らを気にせず個人で全部力ずくでやり切ってる感じ。どんな見え方するかよりも、とにかく物語の世界観を言いたい人なんやろなと思った。雑なシルエットの「かまいたちの夜」を観てる(プレーしてる)感じかな?サウンドノベル映画って言うと納得できるかもしれないね。
そんな感じで第1部は修業に近かったけど、この2部は画は抜きにしてストーリーに引き込まれたし、その微妙なシルエットの人物表現が逆に観る側が必死についていこうと注目させるための表現としてやってたなら凄いね。現在製作中の3部も気になったけど、中々自分から観にいくのはキツいものがあるけど、こういう形で観せらるなら観たいかな。
と思って、このフィル・ムロイさん調べたら元々手描き系の人で、そっちはそんなに悪くないし(むしろイイ感じ)、ちゃんと自分のタッチ(カートゥーン系の)で絵描いてはるし。デジタルな表現がまだ安定してないのかな?
・ピーター・ミラード監督『裸で』
・ピーター・ミラード監督『ボーゴドビエゴドンゴ』
このゆるい作風のピーター・ミラード監督、なんと世界的名門、王立芸術院に入ったらしく、その大学院で制作した作品。どんな変化があるのかとおもったら、前半は色もなくなり線画でさらにゆるさが加速(幼児返り?)してミニマルっちゃあミニマルでファインアートなことをしてるともとれるけど、大学院で何勉強してんだ?!って心配になる感じもあった。現在は大学院も出てるらしく、今後どうなるのか期待と心配が入り交じった感じかな。
・ブルース・ビックフォード監督『CAS’L’』
これは凄かった! さっき観た線画の『インヴァーション・レイヤー』のブルース・ビックフォード監督の本領のクレイアニメ。さっきも書いたとおり、仙人的生活をしてて、誰かが止めるまでひさすら作り続けるらしい。今作も45分なんだけど、同じようなシーンが延々続く(同じ映像じゃなく、新たに何回も作って)し、この人はこれが気持ちよくて何回も繰り返してはるんやろね。ストーリーもあるみたいやけどないね。とにかく人が膨張したり合体して混じり合ってでっかい顔になってまた膨張して破裂したりしぼんだりを繰り返す。
が、何にせよクレイの技術が超絶に凄いし、同じようなことをようこんな何回もするな〜っていう変態っぷり。ヘンリー・ダーガー的なアウトサイダー感もありつつ。『バカドールシアター』に通ずる部分もあるね。
作品として成立させるには誰かが仕切らないと、こんなことになっちゅうタイプの人だね。その変態っぷりは変態っぷりで尊敬するし。とにかく凄いモン観たし、今回のオールナイトで一番収穫だったし、ソフト化されたら買うは。この人のメイキングやドキュメンタリーを観たいね。この人の単体でもいいし、CALFさんで、変態(メタモルフォーゼ)アニメーション作家の生態を追いかけたドキュメンタリー映画を製作して欲しいね。
そして、観終わったあとに、無性にマーブル系のアイスが食べたくなった。
そんな感じで、色々面白いモン観れたし、このオールナイト行って正解やったね。