ファブリス・ドゥ・ヴェルツ監督『変態島』を観る。『変態村』の監督だね。
”変態シリーズ”4部作(ファブリス・ドゥ・ヴェルツは最初の『変態村』だけで、残りの3作は内容もスタッフも関係ないけど、『変態村』のヒットでユーロ・ホラーを抱き合わせにしただけで、邦題も勝手に日本人がつけたもので『変態村』意外はもひとつやった)とは別にこんなん撮ってたんやね。
『変態島』(2008年/フランス・ベルギー・イギリス・オーストラリア合作/96min)
う〜〜ん、おもしろくない。
津波で子供を亡くした夫婦が、ミャンマーの現状を伝える慈善事業の記録ビデオに、その子供が映ってるとして現地に探しにいき・・・って話。
う〜〜ん、『変態村』のミニマルなストイックさはないし、北欧の物悲しいファンタジー感やヤバさ、コミカルさもない。ただのアジアン・ホラーだね。舞台がミャンマーの亜熱帯はジメジメした世界観に、昼間の明るい照明が全然恐くないし野暮ったいね。そして、”変態島”ってタイトルと中身は全然関係ない(原題は『Vinyan』。タイ語で”魂、成仏できない霊、幽霊”という意味。これなら内容通り)し、中々島に辿りつかへんのよね。そして島もデカいし実際は島の一部のジャングルな感じだし。
そして、島には泥だらけで顔にペイントした子供の集団がいるのだけど、(明るい照明も相俟って)全然狂気じみてないし、全然恐くない。監督の合図で演技させられてる感満載だし、中々襲ってこないし襲ってきても弱い。ただの泥だらけで無邪気な子供だし。
エマニュエル・ベアールの色調の薄い目や虚ろな表情は、こういう狂い系の役には向いてるね。ラストの上からのアングル(子供に囲まれての図)は良かった。
ま、この邦題や煽り方が悪い(こうなるのは往々にして予想してたし、ハナから信じてない)のであって、監督が悪いわけじゃないし、幸か不幸か今後もこの監督の作品には”変態”の冠が付けられるんやろね。