シネ・リーブル梅田で『ABC・オブ・デス』を観る。関西初上陸ですね。
『ABC・オブ・デス』(2012年/アメリカ/129min)
世界で活躍する新進気鋭の26人の監督が、5分1本勝負でアルファベット文字から「死」をテーマに描くホラー・オムニバス映画。日本からは井口昇監督(F)・西村喜廣監督(Z)・山口雄大監督(J)が参加している。
5分ってムズいなぁ、という印象。スプーン1匙だけの料理を食べるみたいな感じかな。もっと食べたい!っていう試食的な感じで、各監督の長編作品を追いかける感じかな。
短い制約の中で、山口監督は1ネタに絞って意図が明確だったし、逆に西村監督はこれでもかというくらい要素を詰め込んで(ぶち込んで)きましたね。毎度、絵コンテ上でのトリッキーな思いつきを実際具現化しちゃうのが、いつも圧倒させられるし、体操の競技でバック転ややいろんな技を魅せつつフィニッシュで着地もちゃんと決まったような、思わず歓声を上げて拍手しちゃいそうな高揚感があります。
そして、井口監督は商業作品で普段押さえ付けられてる部分を解放されててまさにお腹に貯まったガスを噴射してて幸せそうだった。井口作品のコメンタリーやメイキングを観てると、よくやりたいことをスタッフに説明しても「何でですか?どういう意味ですか?」みたく言われて理解してもらえないと話してて、けど実際映像になるとちゃんと面白くなってるし、twitterでも監督自身がおもしろいと思う事の企画を出しても通らないっとつぶやかれてたりするけど。この『ABC・オブ・デス』でのF(Fart=おなら)は、その商業的なしがらみなく、本当にやりたいことを自由にのびのびされてて観てて凄く幸せそうに観えた。西村監督もそんな感じだった。長編作品ではなくスピンオフでいつも観る箍が外れたパターンの作品だった。ので、普段の作品や趣味を知らないと、ポカ〜ンっとなっちゃう(ココのレビュー、全部否定的だけど、本当の楽しみ方を味わえてないね)と思うし、中々人に薦め難いけど、個人的には、井口監督・西村監督の脳内が観れた感じでニヤニヤしてしまうし、いつもの感じで安心するのだ。ちょっとファインアートな感じかもしれないね。
あと、思ったのが「死」がテーマなんだけど、トイレネタ率が高いね。人が死ぬ表現として、血→ゲロやヨダレの次はシモになるからかな。あとは、ホラー好き(撮る人・観る人)の子供心的にホラーネタに次いで、うんこやオナラネタもテンション上がり具合的に、近いからかな?あとは個室感だったりトイレから何か出て来る(逆に流して隠す)恐怖感も世界共通であるのかもね。とか思ったり。